連載
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「売れてる本」とは何か?
倒産する出版社に就職する方法・第49回
とりあえず、です。とりあえず、ストーンペーパーの話はいったん措いておいて、新鮮なパルプから作製された新聞の話をしなければなりません。
12月22日付けの朝日新聞です。
同紙の読書面「売れてる本」のコーナー、みなさんご存じでしょうか?
話題になっている本を取り上げて、各分野の本読みたちが独自の視点でその内容や背景を分析する欄です。通常の書評欄が、わりと硬派な本を取り上げるのに対し、軟派なものから朝日的ではない種類の本まで幅広く扱っていて、読書面の中でも読みやすい記事といえます。
その「売れてる本」に『買いものは投票なんだ』が取り上げられたのです。
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ストーンペーパーは語りかける
倒産する出版社に就職する方法・第48回
12月15-16日の両日にわたり、東京・国立にて行なわれた個展講演会「EARTHおじさんが困っていること」。
全8回講演という藤原ひろのぶ氏の奮闘、前日深夜0時時点での会場レイアウトを「やっぱ気にいらない」とご破算にしてからの徹夜再設営という長澤美穂氏の荒行、また支援者の方々の尽力により、2日で300名超を動員、大成功を収めました。
またこの間、『買いものは投票なんだ』は4刷2万部を突破し、朝日新聞などにも取り上げられるなど、さらなる広がりを見せています。
とはいえ、われわれは現状に安住しているわけにはいかないのです。
EARTHおじさんとともに新しい世界を作っていくという使命のもと、その先の展開を見据え、動き出さねばなりません。
そう、いま私が虎視眈々見据えているものこそ、EARTHおじさんの第二弾作品です。
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個展とトイレットペーパー
倒産する出版社に就職する方法・第47回
『このイラストをスキャニングしてデータ化してほしいんだけど』
『こういう写真、探せへんかな?』etc.
11月下旬、長澤、藤原両氏から、LINEで依頼事が届くようになりました。
いまだ全体像をまったく知らされないままではあるものの、2人がなにやら動き出したのです。12月15-16日開催の個展に向けての胎動です。まずは歓迎すべきでしょう。
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個展の全貌
倒産する出版社に就職する方法・第46回
「なんかしっくり来ないの。だからとりあえずいったん白紙にして、今考え直してるとこ」
「じゃあ、まだ何にも描いていないんですか?」
「うん」
「まったく?」
「まったく」
「1枚も?」
「1枚も」
「描いて……」
「……ない」
!!!
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チキンレース
倒産する出版社に就職する方法・第45回
藤原ひろのぶ氏が勝手に個展の開催を高らかに宣言したのが10月5日。
個展についてなんの手がかりも残さず、バングラデシュに高飛びしたのが10月17日。滞在は2週間。
この間の個展の進捗が気がかりではありますが、藤原氏も長澤氏も大人です。しかも面と向かって、「見通しは立っている」と言い切ったのです。私がどうこう言わなくても、自分らで言ったことの責任は負ってくれるはずです。私は私で、三五館シンシャの今後の新刊作りや販促活動にも力を注がねばなりません。
あっという間に数日が過ぎました。2人からはなんの連絡もありません。
が、ここで心配した私が進捗確認の連絡を入れることは2人を甘やかすことになりかねません。2人とも大人なのです。ぐっと耐えて、自発的な動き出しを待ちましょう。
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もしも、万一
倒産する出版社に就職する方法・第44回
『藤原ひろのぶからのお詫び
どこからお詫びして良いのやら。。。
まずは先日公表した個展の日程ですが、東京で12月3.4.5予定をしていた所EARTHおじさんから
“その日は平日やないか?アホかお前”
とお叱りを受け、急遽日程を12月15.16日に変更となりました。
子どもに聞いてもらいたいのに、学校がある日にするなんて…バカ!とこれはマジで怒られたわけです。』
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『個展を開催します^^』
倒産する出版社に就職する方法・第43回
『ものすごく重要な問題なのに、僕たちのほとんどは無関心。なぜならしっかりと教わってないからです。ということでEARTHおじさんと一緒に考える個展を東京で開催します^ ^』
10月初旬、『買いものは投票なんだ』刊行以降、恒例となった朝イチでの藤原ひろのぶ氏のフェイスブックチェックを行なった私は、わが目を疑いました。
EARTHおじさんと一緒に考える個展を? 東京で? 開催?
聞いてねえ。
ものすごく重要な問題なのに、しっかりと教わっていねえ……。
突如個展の開催を知り、ワクワクとは別の意味で胸の高鳴りが止まりません。続きを読みます。
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なくし物はなんですか?
倒産する出版社に就職する方法・第42回
私が不動産屋と血みどろの死闘を繰り広げているあいだ、わが三五館シンシャでは出版社にとってたいへん嬉しい出来事が出来しておりました。
重版です。
9月22日配本『買いものは投票なんだ』が、発売から1カ月半のあいだに、2度の重版をかけることができました。
「重版」とは「版」を「重」ねると書きます。おなじ「印刷版」を用いて、重ねて刷っていくことを指します。『買いものは投票なんだ』は初版を発行したあとで2度重版をかけたので、現在3刷となりました。
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第一ラウンド、リングに沈む不動産屋
倒産する出版社に就職する方法・第41回
さらに数日後が経過。
家賃値下げ要求を突き付けた私に対して、大家と交渉すると言っていた不動産屋からあらためて電話がかかってきました。
「たいへん申し訳ありませんが、大家さんと弊社とは家賃保証という契約になっており、家賃自体を値下げすることは難しいのです。ですから、今回は更新料を半額ということでいかがでしょうか?」
「なるほど……」
どうですか、これ。
――家賃は下げないけれども更新料を半額にする。
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形勢逆転
倒産する出版社に就職する方法・第40回
「じゃあ、出ていけ、なんてことにならないんでしょうね?」と妻。
「心配ないさ。借地借家法では借り手の権利が手厚く保護されているから、突然出ていけなんてことにはならないよ」と、ハウツー本に記されているようなわかりやすいQ&Aを行なう私。
家賃をめぐる裁判所での調停では、「調停委員」という人があいだに入って交渉が行なわれることになります。家賃問題の調停委員は不動産鑑定士が就くことが多く、なんとか調停をまとめようと、貸し主(大家)側へ譲歩を迫ることが多いのです。
――というような編集作業中に仕入れた知識を披露する私。
「ふーん」
冷然と私を見やる妻。