書籍案内

Amazonからもご注文
いただけます

老夫婦が壊される
老々介護の地獄度と、劣化する社会保障


元・朝日新聞記者
柳 博雄 [著]

四六判並製/240ページ/本体価格1,400円
ISBN 978-4-88320-680-3


2000年から「介護の社会化」という夢とともにスタートした介護保険制度が、明らかに自壊を始めた。
高齢者、難病者、障害者…は、もう必要ない!と宣告しているように。


たとえば裕福≠ネ著者には月額31万4166円の年金がある。しかし、家賃・税金・医療費・介護保険金・国民健康保険料などを差し引くと、残りは9万6431円。
この中から電話・電気・ガス・水道・食費・本や雑誌の資料費などを引くと家計はもたない。
もっと少額の年金生活者が、病気になり、医療費や介護保険などの自己負担が重なっていけば、確実に「生存」が危うくなる。
たとえば、パーキンソン病ヤール重症度Xで、一日に一時間しか満足に動けない著者と、彼を8年にわたって介護し続け、ついにみずからも要介護2となった妻の場合。
ともに70代を迎え、身体・精神とも限界に達している。夫婦二人だけの老老介護では、周囲の人たちの手助けがなければ家族は成り立たない。

憲法25条には、
「1 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
 2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」
と「生存権」を謳っているが、それがもはや風前の灯となっている社会の現実を、自らの立場を実例の素材にしながら徹底的に調べあげてリポートした作品。
この時代の「社会的弱者」とは誰のことなのか? 読み進んでいくと必ず、一人一人が深いところから社会保障とはいったい何のために誰のためにあるのかを考えさせられる書である。

巻末に、戦後日本の社会保障政策をまとめた「社会福祉・障害者問題関連年表」を収録した。著者、入魂の力作年表だ。


【目次から】

第一章 老老介護の現場から
    ──介護保険制度が自壊していく
第二章 どうなる? 介護保険
    ―― 相次ぐ改定と、暗雲漂う未来像
第三章 社会保障につく枕詞史
    ――「最善の案」から「改革が求められる」まで
第四章 高齢者は、もう要らない
    ―― 公務員の「日本病」が約束する近未来
第五章 介護者と被介護者
    ――たのむから、私のことを呼ばないで

社会福祉・障害者問題関連年表



著者紹介

柳 博雄 やなぎ・ひろお
1941年生まれ。67年に朝日新聞社に入社し、社会部、編集委員などを務めて、2001年定年退職。97年から帝塚山大学で非常勤講師として「新聞学」「人間論」を教え始める中、2009年にパーキンソン病を発症した。
現在の症状の程度はマックスの「ヤール重症度X」。病を得てこそか、投薬の間隙を縫って一日一時間の執筆に集中する、正真正銘の現役ジャーナリストだ。日本エッセイスト・クラブ会員。
著書に高評価を得た『夫婦の親』『夫婦の謎』や『私もパーキンソン病患者です。』などがある。編著にはJCJ(日本ジャーナリスト会議)賞を受賞した『女たちの太平洋戦争』がある。


好評既刊

柳 博雄 『私もパーキンソン病患者です。』

本体 1,600円